車のDIY修理。ボンネットやドアなどのキズ修理とサビ対策。

DIY

鋼板製のボンネット・フロントフェンダー・ドア・トランクなど、脱着しやすい外板パネルの軽微なキズのDIY修理を、板金塗装工の視点で初心者向けに解説します。
本記事のゴールは「サビ対策を重視」「遠目から見て分かりにくいレベルまでの修理」を目指す事です。
形状修正(へこみ・折れの板金作業)は対象外です。費用と効果のバランスを重視した「やりすぎない」方法を紹介します。

最初の準備

まずは損傷してしまった部分の汚れをキレイにしておきましょう。
洗車用の中性洗剤で余計な油分や汚れを落としながら洗うのが理想ですが、水洗いだけでも構いません。
ただし洗う時は水を多めに掛けながら、小石や異物などを巻き込んで傷を付けないように気を付けて洗いましょう。マイクロファイバークロスが複数枚あると使い分けられて便利です。拭き上げもこれでいけます。

そして損傷部分を正確に認識できる状態になったら、修理工場に持っていき、修理見積りを取りましょう!
以前の記事でも書いてますが、今回の損傷の状況とプロに依頼した場合の金額を把握しておく事は大事です。
無料見積もりを実施している工場に冷やかし前提で見積りをしてもらうのは気が引けると思われるかもしれませんが、修理工場側もまずは見積りをさせてもらわないと何も始まらないので気にしなくて大丈夫です。そのために無料で見積りをしています。
しかし修理工場も依頼が欲しくて必死なので営業トークはしっかりかわしましょう。最初の段階で「修理するかを検討中なので、まずは修理見積もりとアドバイスを下さい」と言えば大丈夫です。
そこで得た情報を元に損傷とどのように向き合っていくかを考えましょう。場合によっては本当にその修理工場に依頼する事も選択肢の一つです。

損傷状態の確認

鋼板製パネルによくある損傷状態は以下の通りです。
1.すり傷
変形が無く、塗装に浅い傷が付いている。もしくは相手の塗料等が付着している状態です。
2.へこみ・折れ
損傷を受けた時に傷と同時に変形してしまってるケースです。見た目の問題と隣接パネルとの隙間がズレたり、ドアの開閉に支障があるなどのトラブルが同時に起こっている事もあります。
3.飛び石傷
前を走る車が跳ねた石などが当たり、塗装が部分的に欠けてしまった状態です。
4.付着物による塗膜の侵食
鳥の糞や虫の衝突死骸などの汚れ、鉄粉や融雪剤や潮風などの環境要因は塗膜を劣化させます。
5.紫外線による白ボケ
ボンネットなどの上向きの面は紫外線を受けやすく、塗膜が劣化して白く濁ったり剥がれたりする状態です。

損傷タイプ別の対処法

まず一番最初に確認するべきは「サビが発生する状態か否か」です。
鋼板パネルが空気に触れる状態であればサビが出ると思って下さい。見た目で鋼板パネルが露出していなくても、塗膜に傷やひび割れがある場合にもサビが発生する可能性があります。
サビは見た目が悪いだけでなく、鋼板を腐食させ修理箇所が広くなったり、最後は穴が空き修理ができなくなりますので、損傷を受けてしまった場合にはしっかりと対処しておきましょう。

サビが進行すればするほど対処は難しくなりますが、早期に対処すれば簡単な手間で済みます。
損傷を受けてしまったらなるべく早めに適切なサビ止め処理を行いましょう。

1.すり傷・2.へこみ・折れ

まずは付着物や浅い傷をならすためにコンパウンドで磨きましょう。
コンパウンドの使い方は下記の記事を参考にしてみて下さい。

コンパウンドで研磨した後は「サビ対策」と「タッチアップ」です。
サビ対策は進行状況により対処法が変わります。今回のDIY修理で推奨しているのが[サビ落とし]→[サビ止め対策]→[タッチアップ]の流れになりますが、サビは進行状況により対処法が変わります。
荒目のサンドペーパーで出来るだけ小範囲でサビを削り落とす方法や市販のDIYツールのサビ落とし剤を活用する方法もあります。
サビが進行していて落とすのが無理そうな場合はサビ転換剤やサビ進行度止め塗料などもありますのでこちらを使いましょう。

サビ止め対策は市販のDIYツールを使います。自動車用の防錆剤やサビ止め塗料として販売されているものを使いましょう。
ただしスプレータイプはダメです。
ボディーカラーとは違う色の防錆剤をスプレーで広く塗ってしまうと、その範囲以上にボディーカラーを塗らなければならなくなり、どうしても修理範囲が広くなってしまいます。
今回は筆で塗っていくタイプの製品を使いましょう。なおDIYツールのキャップに付属している筆は範囲が大雑把になりやすいので極細〜細目の筆を別に用意して下さい。範囲に合わせたものをサビ止め塗料と上塗り塗料用の2本用意すると、よりキレイに仕上げられます。

サビ止め対策がしっかりと乾燥したら上塗り塗料を塗っていきます。
まずは準備として修理する車のカラーコードを調べて、同じカラーコードのタッチアップペンを用意しましょう。
ここでもスプレータイプはダメです。
色ムラや表面のザラつき、塗料が垂れたりミストの飛散など、使い方と用途をしっかり知っていないと大失敗の原因になります。
この記事ではスプレータイプの塗料を使わなければいけない広い範囲の修理は対象としていません。
タッチアップは錆止め塗料を中心に小範囲で複数回に分けて塗っていきます。薄く塗って乾かしてまた薄く塗るを繰り返しましょう。
範囲を広げすぎると塗りムラが目立ってしまいますので「傷を全面塗りつぶすではなく、車体色では無くなってしまっている所だけを塗る」までにしておくのがポイントです。

軽症の場合はこのような感じを推奨します。もちろん近づいたら分かりますし、遠目にもえくぼは残念ながら分かってしまいます。
しかし費用は3,000円以下です。対費用効果で見れば十分ではないかと思います。
数万円出せばプロがしっかり直してくれますがそこまでを求めていない場合に「手をかけ過ぎないDIY修理」も1つの選択肢として考えてみましょう。

3.飛び石傷

主にボンネットなどフロント部分に受ける損傷です。サビが出る前に対処出来れば、欠けてしまった塗膜部分にサビ止め塗料を塗り、タッチアップペンで染めてあげればそれで十分です。
しかし発見が遅れてサビが発生してしまった場合は少々考えものです。
サビを削り落としたい所ですが、ボンネットは広い範囲でタッチアップしてしまうと目立ってしまうため、サビ転換剤(赤サビを黒サビに変え進行を止める)などのツールを使いピンポイントで済ませるのも1つの方法です。

4.付着物による塗膜の侵食

車の塗膜は日常的に危険に晒されています。付着物の対処法は事前準備と後処理なのでDIY修理というよりも日常ケアが大事になります。

鳥の糞虫の死骸はただの汚れではなく、酸性による侵食という危険要素です。放置してしまった分だけ塗膜にダメージを与えるので早めに除去しましょう。
時間が経つと固くへばりついてしまい落とす事が困難になるため、水でふやかし柔らかくしてから落とします。無理にこすって落とそうとすると塗膜に傷を入れる原因になるので優しく撫でるぐらいにしておきましょう。
もしも塗膜にダメージが蓄積しシミひび割れが起こってしまっている場合はサビが出ないかだけ確認して下さい。
サビが出てしまう場合はサビ止め塗料で対策をする事も出来ますが、範囲が広くなりやすく対処も難しいので専門家に相談をオススメします。

降雪地帯では融雪剤の塩化カルシウム・塩化ナトリウムなどが車のサビを促進させてしまいます。
対策は早めに洗車をして除去する事が大切になるので、カーシャンプーでキレイに落としてあげましょう。寒い中で洗車は大変ですが頑張りましょう。

鉄粉も塗膜に悪影響を与えます。放置しておくと酸化してサビの原因になったり汚れが付きやすくなるので定期的に落としておきたい所です。
しかし洗車では完全に除去出来ない事が多く、「鉄粉落としねんど」や「専用クリーナー」を使う必要がありますがどちらも取り扱いには注意が必要です。必ず使用方法を読んで理解してから安全に行いましょう。
また、専門家に依頼するのも1つの方法です。付着物対策の方法で「コーティング」がありますが作業工程の中に鉄粉落としも入っています。内容と金額を確認してみましょう。

5.紫外線による白ボケ

主にボンネットや上を向いてるパネルに起こりやすい症状で、紫外線などにより塗膜が劣化し白くくすんだ状態になっているケースです。悪化するとクリヤーコートが剥がれはじめてしまいます。
この状態は基本的にはDIYで修理をするのはかなり難しく、修理工場に依頼して古い塗膜を削り錆止め塗装と再塗装を行う事をオススメします。
カーオーナーに出来る事は「劣化する要因から塗膜を守る」というのが現実的な方法で、駐車場所を車庫やカーポートにしたり、長期間乗らない時にはカバーを掛けておく事も有効です。
ボディーコーティングをする事もオススメです。予防の意味合いや初期の白ボケの段階であればコーティング前に研磨をしてもらうと、ツヤが戻った状態でコーティングしてくれるのでキレイな状態が長持ちします。

まとめ

車の外装は日々危険に晒されおり、何もしなければ右肩下がりでダメージを蓄積していきます。
大事にケアをしたりトラブルの際に適切な対処をする事により、何もしない場合に比べて長い期間キレイな状態で乗る事ができます。

しかし何かをする場合には費用もセットで掛かるもので重要なのは対費用効果が大事ではないかと思います。
「定期メンテナンス付きの超高級ボディーコーティング」が日常ケアの最善かと言われれば、効果は最善だとしてもコスパは人と車種によるという答えになります。
自動車は様々な理由でいつかは手放したり廃車にしなければならない日が来てしまいます。そこまでの期間を「どれだけキレイで快適に使いたいか」という事を考えると、常に新車のようなツヤを求めていて費用はいくら掛かっても良い!という方にとっては最適解になりますが、普通ぐらいのキレイさで不快でなければ問題ありません。という方には過剰コストになってしまいます。

当ブログのテーマであるDIY修理は「プロに任せるほどの仕上がりと費用は合わないけど、対費用効果を重視し自分という労力で頑張る」が1つの目指す所です。
しかし勉強不足による失敗で、最終的に必要以上の費用が掛かり品質を下げてしまった…。という残念な結果も少なくありません。
市販のDIYツールを正しく理解し使用する事で必要以上に費用を掛けず良い結果を得られる事もあるので、より良いカーライフのためにしっかりと勉強してチャレンジしてみましょう!

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