コンパウンドとは

DIY

はじめに

自動車用のコンパウンドは「車の塗装の表面を少しだけ平らにして整える」「汚れやくすみを削ってキレイにする」研磨剤です。
軽い傷や塗膜の表面に付いた付着物を落とすのに使えたり、塗膜の劣化した表面を薄く削ることによりツヤや光沢を復活させる事にも使われます。
便利である反面、削りすぎると必要な塗膜まで無くなってしまうので注意が必要です。

どういうタイプの傷に有効?ダメなケースは?

水で濡らすと一時的に消える白いこすり傷や、爪がほとんど引っかからない浅いスジは、表面の乱れが原因です。
一般的に自動車は下記の図の「ソリッド・2コート・3コート」に分類され、トップコート及びクリヤー層を若干傷が付いた程度であれば、コンパウンドで「ならす」と消える可能性があります。




その反面で研磨してはいけないケースも有り、爪が引っかかる傷や下地の色が見えている損傷、飛び石による塗装が欠けた部分は、コンパウンドの研磨で解決する事はありませんので気をつけましょう
上記の図で言えば、「ソリッドはトップコートの半分近く」「2コートと3コートはクリヤー層が無くなる所」まで削れていると、これ以上研磨してはいけない状態です

さらにコンパウンドは削るという性質上、相性の悪い材質もあります。
・塗装の施されていない樹脂(バンパーの一部やカウルトップ等)
・艶消し塗装と呼ばれるマッド処理されてるパネル
・ゴム製の部品
・ステッカー等
これらは研磨してしまうと、白い磨き傷や取り返しのつかない状態になってしまう事があります。
自動車用のコンパウンドで研磨出来るのは「ソリッド塗装」「主にクリヤー塗装されている塗膜」だけと考えておきましょう。

用意するものと予算の目安

必須品

細目のコンパウンド
細目とはありますが、DIYで使うコンパウンドはこれが一番荒い研磨剤のポジションで、基本的にはこれでならしや付着物を落とします
塗膜の種類やカラー次第ではこれ1本だけで解決する事もあるので、まずはこれだけ買って使ってみて考えるのも悪くありません。

マイクロファイバークロス
洗車の拭き上げからワックスの拭き取り、車内の清掃等で幅広く使え、正しい使い方をすれば塗膜に傷を入れにくいので重宝します。
ただし、洗濯をしてもコンパウンドの残留や拭き上げの時に巻き込んでしまい取れなくなったチリ等が塗膜に傷を入れてしまう事があります。
新品はワックスの拭き取りや最終仕上げの確認に使い、使い古しは洗車の拭き上げやコンパウンドの手磨きに回し、最後は足回りや汚れのひどい所に使いましょう。
何度も使えそうに思えますが消耗品なので、複数枚用意しておくと安心です。

この2点だけなら1,000円〜2,000円ぐらいで揃えられるかと思います。

必要であれば揃えたい物

極細目と超微粒子のコンパウンド
細目よりさらに粒子が小さいコンパウンドです。細目のコンパウンドで付いた研磨傷を消すために使います。
細目の研磨傷を極細目で消し、極細目の研磨傷を超微粒子で消していきます。
ボディカラーがブラックや濃度色の場合は磨きキズが目立つため、気になる場合は揃えましょう。

ウレタンスポンジとウールバフ
コンパウンドで広範囲や強めに磨きたい時に使います。
ただしルーフやボンネットの広範囲に及んだウォータースポットやくすみを落とそうとしない限りは、マイクロファイバーで十分だと思います。

マスキングテープ
コンパウンドを当てたくない箇所に事前に貼っておくためのテープです。ギリギリの所まで磨きたい場合には必ず貼っておきましょう。
マスキングテープは剥がす前提のテープのため糊残りは少ないですが、長時間放置したり品質の悪いものはベタつくので気を付けて下さい。

ここまで揃えると5,000円前後でしょうか。必要な分だけ用意しましょう。

作業前の準備

洗車して砂や油分を落とし、拭き上げて乾かします。
作業は明るい場所で、風通しの良い場所で行いましょう。念の為に保護メガネと手袋、換気は忘れずに。安全第一です。
エッジやモール、未塗装樹脂の近くを研磨する時はマスキングテープを貼って保護しておきましょう。

やり方(手磨き・初心者向け)

コンパウンドをスポンジかマイクロファイバーに少量取り、磨きたい箇所に軽い力でクルクル→縦横に撫でます。20〜30秒程度で一旦ストップしましょう。乾いたクロスでやさしく拭き、斜めから光を当てて様子を見ます。
変化が弱ければ同じことをもう一度します。ただしエッジの部分や角張った所は強く当たりやすく「塗膜が無くなりやすい箇所」です。削り過ぎには気をつけましょう。
数回繰り返しても改善しない・むしろ悪化している場合には、コンパウンドで研磨する事が適していない状態の可能性がありますのでご注意下さい。

ありがちな失敗と立て直し

磨きすぎて塗膜を削りすぎた場合や研磨するべきではない塗膜を削り被害がさらに拡大してしまう事がありがちです。
ここで問題になるのは、ボディー色が無くなってしまい下地が見える事による見た目の悪さと、鉄板が露出する事によるサビが発生する事です。
対処法は下地処理を行い、上塗り塗装のやり直しになりますが、私としてはDIYで缶スプレーを使うのはあまりオススメしていません。
ではどうするかと言うと、サビが出そうな所にはサビ止めペイントも筆塗りタイプがあるので、筆でペタペタ塗っていきます。そして乾いたらボディー色のタッチアップペイントで染めて終わりにしましょう。
近づいたら修理痕は見えますが、少し離れた所から見れば分かりにくい位にまで出来るかと思います。
万が一、研磨の工程で鉄板が出てしまったら、この方法を試してみて下さい。

まとめ

コンパウンドは「削って整える」道具です。焦らず、小さく始めて、軽い力で、こまめに確認。浅い小キズや付着物なら、これだけで“遠目に気にならない”ところまで持っていけます。
使い方を知っておけば、何かと役に立つ事の多いコンパウンドですので、ぜひ皆様のカーライフを充実させるためにチャレンジしてみてくださいね。

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