車の部位別解説。第1回:バンパー

修理・点検

バンパーとは?

車体の前後に取り付けられた、赤く塗られた部分のパネルです。
前側が「フロントバンパー」後ろ側が「リヤバンパー」という名称で、接触時の衝撃吸収の役割のために基本的には最前部と最後部に取り付けられています。
素材は主に樹脂製となっており、衝突時のエネルギーをバンパーが吸収し歩行者や乗員の保護の役割もあります。
近年ではソナーセンサーやミリ波レーダー等の電子制御機器を取り付けている事も多く、脱着をする際は取り扱いに注意が必要です。

フロントバンパーについて

見た目

車の顔と言えばこのフロントバンパーとヘッドライトを思い浮かべる方も多いかと思います。
以前は金属製が主流でしたが、樹脂製に変わった事により安全性だけでなくデザイン面においても自由度が高くなり、各メーカー・車種ごとに顔として特色を持っています。
「エアロバンパー」や「バンパースポイラー」等のパーツは空気抵抗を考慮した設計ですが、一般道でその恩恵を感じることはほぼ無く、スポーツタイプのカッコいい見た目の方を重視して選択する方が多いです。
塗装はボディーカラーと同じ色を採用している場合がほとんどですが、車種によっては素地部分をあえて残してるデザインの車種もあります。

役割

冒頭で触れた通り、接触事故が起きた場合に一番最初に衝撃を受けることが多い部位になります。
そのため、素材は柔らかく衝撃を吸収しやすい樹脂が採用され、車体本体に事故の衝撃を伝えにくくする役割を持ちます。
また、フロントバンパーには多くの付属品が取り付けられており、ナンバープレート・灯火装置・電子制御装置等、車体の最前部につけておきたい部品が取り付けられています。

リヤバンパーについて

見た目

フロント側ほどではありませんがリヤ側から見た時の外面も大事であり、リヤゲートorトランクとテールレンズとリヤバンパーで印象が決まります。
自分では見る機会は少ないかもしれませんが、同じ車種が前を走っている時には気になるかもしれません。
フロントバンパーとは違い、比較的シンプルなデザインが多いです。

役割

基本的にはフロントバンパーと同じような役割を担っています。
電子制御装置やバックモニターのカメラなど後退時に機能する機器の付属品が付く部位でもあります。

バンパーの修理について

車体の中で傷をつけやすい部位であるバンパーですが、主な状況として「変形をしていない傷」「変形を伴う傷」「亀裂が生じている損傷」「飛び石傷」が良くある損傷です。
バンパーを修理依頼するにあたっての注意点は、まずは「新品交換金額がいくらになるのか?」が基準になります。
バンパーの新品は塗装済みの物が供給される事が多いです。つまりバンパーのみの単体損傷であれば【部品代+取替工賃+点検費用】で修理が完了します。
仮に新品交換のトータル金額が50,000円の場合に、修理なら40,000円です。と言われたらどうでしょうか?
「10,000円も安くできるなら修理で!」と思う人も「10,000円しか変わらないなら新品が良い!」と思う方もいます。
この差額のメリット・デメリットを損傷状況ごとに解説していきます。

変形をしていない傷のケース

大体の場合において交換よりも安く、キレイに治るので、修理で依頼して問題ないケースです。
注意点としては、隣接するパネルとの色合いと肌質(表面のツヤや塗膜の質感)は完璧に一致することはまず無いという事です。
とは言うものの作業者の技術力により精度は上下しますが、一般の感性の方が見た時に違和感を感じないぐらいまでは直ります。
車の塗膜に関してプロの知識を持っている人や一部のこだわりの強いユーザーでなければ、大体の場合において気にならないかと思います。
ちなみに、「塗装されていない素地の部分」は基本的に修理ができませんのでご注意ください

変形を伴う傷のケース

まず「変形がないケース」より金額は高くなります。そして仕上がりの精度も下がります
バンパーに使われてる樹脂という素材ですが、熱を加えると柔らかくなり形を変えられるという性質を利用してへこんだ箇所を出来るだけ元の形に戻し、パテで形を整形していきます。
この工程でどれだけ歪みを無くせられるかは作業者次第であると共に、時間経過にも弱いという側面もあります。
作業完了後は問題が無いように見えても1年後や3年後に見ると、パテが縮む等の様々な要因により修理跡がうっすらと見えてきてしまう事もあります。
つまり変形が有る無しで後々の仕上がりに差が出る、尚且つ金額も高くなるという事になります。
その上で新品交換の金額と比較してみてください。

亀裂が生じている傷のケース

修理は可能ですが、仕上がりや耐久面での注意が必要です。
バンパーの裏側から針金状の修理キットを熱で埋め込んで補強して修理していきます。
しかし変形以上に、後々修理痕は出てくる。と思っておいた方が良いです。
亀裂を修理した部分は耐久性が低下した状態であり、車の振動や夏場の日光による加熱等で亀裂が再発しやすくなってしまいます。
修理を依頼する場合は、修理痕が後々出てくるという前提で考えておいたほうが良いかと思います。

飛び石キズのケース

前方を走る車が跳ねた小石等が当たって傷になったもので、フロントバンパーやボンネットに良くある症状です。
主に当たった部分の塗膜が削れてしまっている状態で、フロントバンパーの場合は素地が見えてしまう事もあります。
特に白系の塗装をしている車の場合、素地が黒に近い色をしている事が多いので目立ちやすいです。
修理は「変形をしていないケース」と同様の内容ですが、範囲がバンパー全体に生じていることが多いので、若干高くなります。

まとめ

バンパーの本来の役割は衝突時の歩行者や車体のダメージ軽減が主ですが、外観を決める重要な部品でもあります。
さらに安全装置など車を運行する上で大切な役割も担っているので、損傷を受けてしまった場合は適切に対処致しましょう。
なお、脱着を行った場合にはソナーセンサーやミリ波レーダーのエーミングと呼ばれるセンサー類の正確な動作を保証するための再調整作業等がが必要になる事があります。
安全装置の機能が本来の性能を発揮できなくなる可能性があるので、必ず行うようにしましょう。

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